任意売却で住宅ローンの滞納・競売・差押の問題を解決したい方々のために。

一般社団法人 全日本任意売却支援協会 平成30年度相談件数1,500件以上

債権者が任意売却を認めない2つの理由

「所有権って強いんだよな」とある債権者はぼやくように言っていました。

言うまでもありませんが、自宅を購入するとその不動産の所有者になり、法律上の所有権を有することになります。その際、銀行から住宅ローンを借りると、銀行はその不動産(土地、建物)に抵当権を有することになります。 所有者と銀行は、法律上、所有権と抵当権という権利を保持した関係になります。

冒頭の「所有権って強いんだよな」という言葉の主旨は、銀行は所有者の意向に沿うという今の日本の銀行の立ち位置から発せられた言葉なのです。

よって、債権者は、任意売却の価格に妥当性があり、所有者が任意売却を行いたいという意向を示せば、それに応じてくれます。あくまで売却の価格(より市場に近い金額)次第という前提はありますが。

ここでは、所有者の意向をくんでくれる銀行でさえ、絶対に任意売却に応じないことが2つありますので、ここで紹介します。

1.住宅ローンを借りてから、あまり月日が経っていない

お金(住宅ローン)を貸す側は、その人とその不動産の価値を評価して融資をしてくれます。わかりやすくいうと、あなたを信用してあなたにお金を貸すから返してねと、約束をしたわけです。

ただ、住宅ローンは35年という超長期にわたり返済をしていくものです。返済途中でリストラにあったり、病気になったりというリスクが誰にでもあり、払えなくなる可能性がゼロではありません。

しかし、借りてからすぐに返せなくなったといえば、銀行側の心象がかなり悪くなり、任意売却に応じてもらえないことがあるのです。

どれくらいの期間を経ていれば任意売却に応じてもらえるか?

融資を受けてから、短い期間で滞納してしまうと心象が悪くなり任意売却に応じてもらえないと書きましたが、ではどれくらいの期間、返済すれば任意売却を認めてもらえるのか?
(あくまでも目安ですが)最低は2年で、3年以上返済していれば通常は任意売却を認めてもらえることが多いです。

また、2年以内に住宅ローンを滞納したとなれば、その銀行の担当者の評価が下がるということも、銀行の方から聞いたことがあります。また、場合によれば、その融資を斡旋した不動産会社に対しても責任(今後の付き合い等)を負わされることもあるようです。

いずれにしても、失業や病気などの仕方がない理由で、住宅ローンが支払えなくなっても、その期間が2年や3年以内だと銀行に任意売却を認めてもらえない可能性が極めて高いことはご理解下さい。

2.住宅ローンを借りるときに詐欺を働いた

住宅ローン詐欺は、ひと頃社会問題にもなり、多くの逮捕者を出しました。そればかりか反社会的勢力の資金源になっていたと大きく報道されたこともありました。住宅ローン詐欺とは、次のような行為をさします。

・収入を多く申告する

具体的には次のようなことが代表例です。まず、架空の源泉徴収票などを作成します。

次に、その源泉徴収票を持って住所地の役所へ行き、住民税を修正申告し、その源泉徴収票の年収に見合う税金を支払うのです。

これにより、納税証明書(住民税決定通知書)を手にすることが出来ます。この納税証明書を住宅ローンを借りる銀行へ提出して、あたかも安定して高額な収入があるように見せて、住宅ローンを借りるのです。

・自己資金を多く見せる

これはすごく単純なことです。銀行は頭金が多い人を信用し評価を高くします。しかし、以前はその頭金の調べ方がずさんでした。

まず、銀行から通帳のコピーの提出を求められます。提出するコピーは3枚です。"表紙""表紙の裏(氏名、銀行名、口座番号の記載のページ)"および"金額が印字されている最後のページ"だけです。

詐欺を働く人(会社)は、"表紙"と"表紙の裏"を本人のもの、そして"金額が印字されている最後のページ"は残高がしっかりとある全く別の第三者のものを提出するのです。

この二人の通帳が同じ銀行のものならば、見た目が同じですから、わからないとなるようです。すごく単純で「なんだそんなことか?」と思われたかもしれませんが、当時は、これで審査が通ったと聞いたことがあります。ちなみに、今は通帳に限らず社会保険証など提出を求められる書類は全て原本を確認するようになっています。

・物件価格を高くする

これは、物件購入者と不動産会社がグルになって進める手口です。

住宅ローンの融資額の算定は、ご本人の収入状況と、物件価格に左右されます。

物件価格が3000万円ならそれに対していくらまで出すかを考えます。仮に3000万円の物件を3500万円と偽っても、銀行にはそのことがわかりません。より多くの融資を引き出そうと、不動産会社とグルになって偽の契約書を作成して、住宅ローンの申し込みをするのです。

もちろん、これらどれも立派な犯罪ですから、刑事事件に発展します。ここには書ききれませんが、他にももっと悪質な手口があり、銀行は何百億というお金を騙し取られたといいます。

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