任意売却と競売の違いを比較・解説
ここでは任意売却と競売の違いを解説します。できるだけ分かりやすくするため、任意売却のメリットと競売のデメリットを一覧にしましたので、まずは簡単に比較してご覧ください。
①競売より高い価格での売却が可能
②引越し費用を捻出できる
③残ったローンについての返済計画を立てられる
④あなたと家族のプライバシーを守る
⑤諸費用を売買代金から捻出できる
⑥引越し時期など、ある程度のご要望が叶う
⑦住み続けることも可能
①相場よりも安い価格で売却される
②資金は一切受け取れない
③どうなるのか分からず計画を立てられない
④インターネットや新聞に情報が掲載される
⑤税金等の滞納がそのまま残る
⑥落札者の都合で立ち退きを迫られる
⑦必ず立ち退かなければならない
それでは、任意売却のメリット、競売のデメリットをそれぞれを一つずつ見ていきましょう。
任意売却のメリット
①競売より高い価格での売却が可能
住宅ローンの返済を滞ると、金融機関が裁判所に対して競売を申し立てます。
競売は、入札方式により一番高い金額で入札した人が落札するシステムで、一般的な落札価格は、市場価格の70%ほどと言われています。
任意売却では、市場価格に最も近い金額での売却が可能になりますので、競売に比べてローンの残高が少なくなり、今後の生活再建の見通しが立てやすくなります。
②引越し費用を捻出できる
競売の場合には、ご自宅の売却代金のすべてが返済に充てられます。
一方、任意売却の場合、債権者とのお話し合いにより、引越し費用を出してもらうことが可能です。
③残った住宅ローンについて返済計画を立てられる
任意売却は金融機関とのお話し合いの上で行います。
ローンの返済に行き詰まり、任意売却を選択された方が、今後同じように返済していくことは現実的に非常に難しいことです。
残った債務については、毎月の返済額や返済期間を計画することが可能です。収入状況・生活状況にあわせた返済計画をアドバイスさせて頂きます。
④あなたと家族のプライバシーを守る
競売を申し立てられると、インターネットや新聞に「競売物件」としてご自宅の情報や写真が掲載されます。
そうすると、その情報を見た多くの不動産ブローカーが、自宅売却の仲介の依頼をもらおうと訪問して来ます。中には、競売で落札するための下見として競売屋が来ることもあります。
また、ご近所の方に知られることもありますので、精神的にストレスを感じられる方もいらっしゃると思います。
一方、任意売却は通常の売却と同様の販売活動になりますので、周囲の方には任意売却だということを知られることが、まずありません。
また、投資家の方のご協力による解決の場合には、近隣の方に知られずに販売活動を行うことも可能です。
⑤諸費用を売買代金から捻出できる
任意売却で必要になる費用(仲介手数料、司法書士費用等、滞納している管理費や固定資産税など)は、ご自宅の売却代金から支払うことができますので、現金にて別途支払って頂く必要はありません。
つまり、費用負担は一切ありません。
⑥引越し時期など、ある程度のご要望が叶う
競売は裁判所による強制力のある手続きです。そのため、引渡し時期はこちらの事情や意向に左右されることはありません。
その点、任意売却では、ご相談者の方の意向やご希望を汲んだお話し合いが可能です。
⑦住み続けることも可能
任意売却では、愛着のある大切なご自宅に「住み続ける」ことも可能です。
身内の方や知人の方にご自宅を買い取ってもらう方法、投資家の方の協力を得て家賃を支払って住み続ける方法などがあります。ご状況やお借入されている金融機関に応じた方法を提案させて頂きます。
競売は、裁判所によって行われる強制的な売却です。
競売による売却手続きは、強制的に執行され、みなさんの意向に沿うものではありません。一方、任意売却は、債権者(借入先の金融機関)との話し合い・調整のうえで手続きを進めていきます。
任意売却は、ご相談者とご家族の「これからの新生活の準備」です。
どういった解決方法があるのか、私たち専門相談員がご提案します。まずは、現在のご状況・ご希望を遠慮なくお話しください。
競売のデメリット
①相場よりも安い価格で売却される
競売は市場価格よりも大幅に安い金額で取引されることがほとんどです。
一般的には、相場の約6~7割程度の価格と言われています。競売が市場価格より低価格になるのは、競売の場合、購入者にとってのリスクが考慮されているためです。
具体的には、事前に内覧ができずリフォーム費用がいくらか分からない、立ち退きの際にトラブルになる可能性がある、等です。
売却代金が低いということは、その分、住宅ローンの残債務が多く残るということです。
②資金は一切受け取れない
任意売却は金融機関の了承のもとで行われ、売却代金から諸費用の配分が認められます。
諸費用の中に、引っ越し費用を認める金融機関もあり、債務者が資金を受け取るケースも多くあります。
しかし競売の場合は、売却代金は債務の返済に充てられ、多くの場合、債務者が資金を受け取ることはできません。引っ越し費用もまとまった金額ですので、事前に準備しておく必要があります。
③どうなるのか分からず計画を立てられない
競売の場合、基本的に退去などのスケジュールは裁判所の命令待ちとなり、はっきりとした日程が分かりません。
そのため、引っ越し準備の予定が立てづらくなります。引っ越しに伴う手続きもままならず、何から手をつけていいのか分からなくなります。
新しい生活に向けて、自分の意思で予定を立てられないのは非常にストレスになります。
④インターネットや新聞に情報が掲載される
競売となると、インターネット(裁判所運営の情報サイト)や新聞に情報が掲載されるため、近所の方にも知られてしまいます。外観写真や室内写真も公開されるのでプライバシーが守られているとは言えません。
また、悪質な業者が自宅付近で聞き込みをしたり、チラシを配布したりすることもあります。このように、競売物件として情報が公になると、生活しづらい状況に陥ります。
⑤税金等の滞納がそのまま残る
税金滞納による差押さえがされている場合、任意売却によって税金の清算も可能です。(多くの金融機関が差押さえ解除料の捻出を認めているため)
しかし競売の場合、売却代金は、競売費用と住宅ローンの返済に優先して充てられるため、多くのケースで税金の滞納はそのまま残ります。
税金滞納は自己破産によっても免責される訳ではありませんので注意が必要です。
⑥落札者の都合で立ち退きを迫られる
任意売却は、購入希望者との話し合いによって決済や引っ越しのスケジュールを決めます。そのため、ご相談者の希望についてもある程度考慮してもらえます。競売の場合はそうはいきません。
落札者が裁判所にお金を納めると、登記上も新所有者に変わります。また、落札者は不動産引渡命令を申し立てます。引渡命令が発令されると、退去しなければなりません。
⑦必ず立ち退かなければならない
任意売却の場合、リースバックという解決方法により、売却後も引き続き住み続けることができます。ですが、競売の場合は、必ず立ち退かなければなりません。
仮に自宅に居座ろうとしても、落札者により引渡命令が申し立てられると、裁判所は強制執行を行い、退去させます。
実際に強制執行が行われる際には、執行官の立ち会いのもと、強制執行業者により家具や荷物が運び出されます。
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