裁判所から執行官が来た方へ
この記事を書いた人
安田 裕次
全日本任意売却支援協会
代表理事
競売までのタイムリミット
あなたの自宅に裁判所から執行官が調査に来たら、競売まであと約3〜6ヶ月しかありません。また、残された期間の中で任意売却で解決できる期間は、更に短くなります。
(▲ご相談いただいた方へお配りしているマンガ本より)
「競売開始決定通知」の次に届くのが、
「現況調査」の通知
裁判所から「競売開始決定通知」が届いたら、次は 「現況調査に関する通知」が届きます。
指定の日時に執行官が訪れ、自宅の中の写真を撮影したり調査を行います。(この時、訪問に応じなければ、執行官は鍵を開けてでも調査を実行します。)
裁判所から執行官が来た・・・一体これからどうなる?
残された期間を有効に使えれば、あなたのご希望を解決する可能性は十分あります。
執行官が来てしまってからのご相談であっても、多くの方の競売取下げにご協力してきました。
しかし、時間は長ければ長いほど、相談者にとって有利に解決できる可能性が広がります。より良い方法を選択していただくためにも、当社では1日でも早いご相談を強くお勧めしています。
"家を取られる"・・・精神面の大きな負担
自分の意思で家を売れば「家を売った」と言いいます。
しかし、競売になると、「競売で家を取られた」と表現します。
競売は金銭面だけではなく、精神的にも多大なる負担がかかることが、「競売で家を取られた」という言葉に表れているのですね。いずれにしても競売は避けたいですよね。
教えて!執行官のこと
執行官について相談者からよくいただく ご質問ベスト13
【質問1】執行官とはどんな人?
執行官は、各地方裁判所に所属する裁判所の職員です。
競売に関しての主な仕事は、次の2つです。
1)競売を申し立てられた不動産の状況を調査すること
2)競売が執行されても明け渡しをしない占有者(元所有者)を強制的に退去させること
※1)の執行官と不動産鑑定士による調査風景
【質問2】執行官にはどんな権限があるの?
強制的に家の現況を調査する権限と、競売で落札者が決定した後に、落札者からの要望があれば、強制的にあなたを追い出すことができる権限を持っています。
※【裁判所のホームページより抜粋】
「執行官は職務を行う際に抵抗を受ける場合には、その抵抗を排除するために、警察の援助を求めることができるなど強い権限が与えられている。」
【質問3】執行官は競売を避ける提案をしてくれる?
(残念ながら)提案はしてくれません。なぜなら、彼らは役人(裁判所職員)だからです。
【質問4】執行官は敵?味方?
「裁判所から来た人だから」と信頼する人も多くいますが、執行官は敵でも味方でもありません。
とにかく、彼らの仕事は競売を滞りなく実行することです。ですから、写真を撮ることだけが目的なのです。写真さえ撮れれば、すぐに帰ります。
執行官は競売を実行することが目的の人ですから、競売を避けたい人にとっては敵?になるかもしれませんね。
【質問5】執行官は何のために来るの?
執行官はあなたの家の状況を見に来たのです。
どんな人が住んでいて、どんな状況なのか・・・等を知ることが目的です。執行官の調査のことを“現況調査”と言うくらいですから、まさにあなたのご自宅(不動産)の現況を調査するために来るのです。
【質問6】執行官が来てから、どれくらいで競売になるの?
通常、4ヶ月から6ヶ月です。
現況の調査をして、あなたの家を評価(査定)するのですが、その評価(査定)に時間がかかるような物件であれば、通常よりも時間を有することがあります。
ただ、一般の自宅であれば、4ヶ月から6ヶ月で競売が実行されるでしょう。
競売になり落札者が決定すると、その人には抵抗することができず強制的に退去しなければなりません。
【質問7】執行官への費用はいくらで、それも私が払うの?
裁判所に申し立てる費用は約100万円です。
一旦は、競売を申し立てた人(通常は金融機関)が払いますが、競売を申し立てられたあなたに請求することができます。
【質問8】執行官への支払いはどうなるの?
裁判所に競売を申し立てる費用の中から執行官へ支払われます。
ですから、執行官は競売件数が多ければ多いほど、収入が増えることになるのです。
※【裁判所のホームページより抜粋】
「執行官は裁判所の職員ですが、国から給与を受けるのではなく、事件の当事者が納めた手数料を収入としています。」
【質問9】執行官って、恐い人なの?
温和な人が多いです。なぜなら、現況調査(家の中の写真を撮るなど)をスムーズに終えることが目的だからです。ただ、なかには横柄な人もいるようです。
相談者のご要望で、何度か同席させてもらいましたが、7割くらいは温和な人で、3割ほどは横柄な人という割合です。(あくまで個人の主観です)
【質問 10】執行官って、また来るの?
一度の調査で終わることが多いので、基本的には一度来たらもう来ないでしょう。
【質問 11】執行官と一緒に来た人は誰?何しに来たのですか?
不動産鑑定士です。競売を開始するために、あなたの不動産(自宅など)を鑑定して、評価することが仕事なのです。
競売はオークションですから、いくらからオークションを開始するかの基準となる最低落札価格を決定するのです。
【質問 12】執行官に「不動産屋と関わらない方がいい」と言われた…
執行官は役人です。“役所仕事”と言われるように、“事なかれ主義”で何事もない方が良いのです。ですから、スムーズに競売が行われることを望むのです。
「100万円払います」などと言い、トラブルを起こす悪徳不動産会社がいることも事実ですから、何事もなく競売を実行したい執行官は不動産会社と関わらない方がいいと言うのでしょう。
※本来、債権者(金融機関)とお話合いの前に、引越代が確定する事はありません。
【質問 13】執行官の言う通り、何もしなければどうなるのですか?
何もしなければ当然、競売になります。
競売になれば何のメリットもありませんから、競売で家を取られるほど最悪なことはありません。だから、何かをするリスクよりも、何もしない方が競売になるのでリスクが高いのです。
競売を取り下げる方法は、任意売却しかありません。
ご自宅に執行官が来ているということは、既に競売開始決定通知が届いているということですから、今からお借入れ先の銀行に連絡しても、残念ながら手遅れの状態です。
しかし、今の段階でもまだ競売を取り下げることは可能です。
ただし、実質残された期間は決して長くはありません。『競売は避けたい』、『次の生活のために良い方法で解決したい』というご希望をお持ちの方は、少しでも早くご連絡ください。
※掲載している漫画は、ご相談者のお話を基に作成したものです。
この記事を書いた人
安田 裕次
全日本任意売却支援協会
代表理事住宅ローンアドバイザー、任意売却コンサルタント
宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー
不動産賃貸管理士、定期借家借地アドバイザー等、不動産やお金、保険に関する資格を有する。住宅ローン破綻者を競売から救うための「任意売却全国ネットワーク推進計画」 で、経営革新の承認を受けるなど、住宅ローン破綻者救済、任意売却事業の第一人者として活躍。
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