夫が内緒で借りたカードローンが600万円。このままでは夫名義の自宅に差…
大和田 幸子(仮名) 様 55歳 建築
相談者 | 森川優子(仮名) 様 |
---|---|
年齢 | 45歳 |
職業 | 会社員 |
家族 | 息子(17歳)、息子(15歳) |
住所 | 東京都立川市 |
実家の土地に12年前に元夫名義で家を建てたのだが、その後離婚。夫の口座に入金を続けていたが、いつからか滞納状態になり、競売にかけられた。なんとか家を守りたい。
森川さんは一人娘。ご実家は土地が広かったため、12年前に実家の隣にご主人名義で住宅ローンを組んで注文住宅を建てたそうです。
住宅ローンを組む際には当然ご実家の土地にも抵当権が設定されます。ご両親も孫が隣に来るとなって大喜び。離婚することなんて微塵も想定していませんでした。
あれから12年。ご主人とは協議離婚が成立しました。森川さん曰くお互いの相性は問題なかったのですが、やはり義両親が近くにいるという状況はご主人には精神的にキツかったのではとおっしゃっていました。不動産の状況は以下の通りです。
<不動産の状況>
相場(実家土地含む):4000万円 住宅ローンの残り:800万円
土地代の支払いがない分、20年で住宅ローンを組んでいたため残債はかなり少ない状況でした。一緒にご来社された森川さんのお父さんとしては、ローンの支払いはもともと夫で組んだのだからタダ同然で家の名義を買いたいとのこと。
森川さんはそんなの無理だとお父さんを諭すのですが、お父さんは頑固です。これでは任意売却は成立しません。
そこで私はお父さんに競売になった場合の配分についてご説明しました。競売になると余った分は所有者に配当されます。土地と建物の名義が違う場合、配分方法は私達が想像しているものとは少し違った形になります。
土地の利用分(借地権割合で決定。今回は70%)が建物に加算されてしまうのです。例えば 評価額が土地2000万円・建物1000万円だった場合、3000万円で落札されたら、土地所有者のお父さんの取り分は600万円・ご主人さんには2400万円が配当されるのです。
私はお父さんに尋ねました。「ご希望は承知しました。仮にご主人が1000万円で買い取ると言ってもお断りしてよろしいでしょうか。」と。お父さんは冷静になられました。何とか良い方向でまとめて下さいということで最後は私に任せていただけることになったのです。
お父さんのご対応は「無知」と「買取資金不足」から来るものでした。そこで買取資金の借入先もご紹介させていただき、ご主人のご意向を上手く調整しつつ、最終的にローンが完済になる金額だけでご主人名義の建物を森川さん名義で買い取ることに成功したのです。
父の感情論で元夫と交渉スタートしていたら、大変なことになっていたと思います。競売になってしまえば両親は実家を競売で失うばかりか、二束三文のお金しか手元に残りません。実は当協会に相談する前に違う所に相談に行ったのですが、そのようなお話は一切されずひたすら建売の不動産会社に売却するご提案をされました。そういう意味では父も少し身構えていたのだと思います。武井さんは父の感情を逆なですることなく、父の立場でのご提案をゆっくり丁寧にして下さいました。本当に感謝しております。
お父さんのお気持ちは痛いほど分かります。自分の土地にわざわざ招く位ですから、昔はご主人のことにも目を掛けていたのでしょう。裏切られた気持ちと約束通りローンを支払わないことに対する憤りと面倒くさいことに巻き込まれたことに対する怒りとで感情的になっていらっしゃいました。今回は実際に競売になった場合の配当方法について実際の資料に基づいてご説明させていただきました。誤ったご決断に至らず本当に良かったと思います。