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- 会社をたたみ自己破産します。任意売却する上で気をつける点は?
会社の経営をしています。不況のあおりで業績が思わしくありません。資金繰りが厳しく自己破産をしようと思っています。自宅は競売ではなく任意売却をするつもりです。任意売却にあたり、何か注意する点はありますか?
神奈川県逗子市/Kさん
回答日:2016年12月28日
ご質問ありがとうございます。自己破産と任意売却に関する質問は多く寄せられます。
そういった場合、まずは自己破産と任意売却を分けて考えるようにお勧めしています。
自己破産は法的に債務(借金)を整理する方法です。任意売却は、競売ではなく債務者にも債権者にも有利な条件で自宅を売却することになります。
まず、自己破産について簡単にご説明します。自己破産には2通りあります。
1つは同時廃止手続。
同時廃止とは破産申立と同時に破産手続を終了させ免責許可※が下りる手続きです。破産申立の約90%が同時廃止手続きとなります。
※免責許可・・・債務の支払義務がなくなること。
2つ目は管財手続(管財事件)です。
管財手続きになるケースは、多大な財産を持っている、もしくは会社を経営しているなどです。Kさんのように会社を経営されている方の場合、会社と個人両方が自己破産の申立をすることになるので管財手続きになる可能性が高いでしょう。
ちなみに、管財手続きになると、裁判所にて破産管財人が選任されます。管財人には、裁判所の選定の弁護士がなります。
Kさんの場合は、会社と個人の両方が有する財産を評価・換価し、債権者に配当して、その後に免責の許可が下りるという流れで自己破産が完了するでしょう。もちろん、自宅も財産ですから、処分(売却)する必要があります。
次に任意売却です。
本来不動産の売却の権限は(当たり前ですが)所有者が有しています。しかし、管財手続に入ったら破産管財人が売却の権限を持つこととなるのです。つまり金融機関が抵当権抹消に応じてくれようが、破産管財人の先生の許可を得なければ、任意売却は出来ないということです。
弁護士に相談して自己破産を完了されるかと思います。弁護士は自己破産の申立をしてしまえばおおかたの業務は終了します。そこまでが弁護士の仕事です。
その弁護士が「(裁判所から選定された」破産管財人に便宜を図ってみます」とまるで任意売却の可能性があるかのようなニュアンスを伝えてくることもあります。
しかし、そもそも破産管財人は債権者に財産を配分するために国から選任された「債権者代理人」のような立場の方です。債務者である相談者さんの便宜を図ってくれるか、どうかは極めて困難といえるでしょう。
『自己破産申立て→破産管財人選定→競売で処分』という流れで進むことが一般的です。これで、余計な業務も増えず、後になって債権者に売却価格について文句を言われることもありません。よって競売で進められるのが現状のようです。
Kさんが競売ではなく、任意売却で進めたいと思われるなら、自己破産の申立て前に任意売却を行う、もし既に自己破産の申し立てをしているなら、その弁護士に「自宅は任意売却で進めるので協力してほしい」とお願いした方がいいでしょう。
いずれにしても、自己破産と任意売却は分けて考えて、優先順位を決めて慎重に進めて下さい。