リストラされて住宅ローンの支払いが厳しいです。何か良い手立ては無いでしょうか?
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この記事は私が監修しています
安田 裕次
全日本任意売却支援協会
代表理事
「リストラで住宅ローンの支払いが厳しい」「コロナの影響でリストラされて住宅ローンがキツイ」といったご相談をよくいただきます。
このページでは、リストラされた場合に住宅ローンはどうなるのか、支払えなくなってしまった場合の対処法についてご案内していきます。
旦那がコロナでリストラされた!住宅ローンはどうなる?
- 住宅ローンの支払いが滞る
- 金融機関より「督促状」が届く
- 「個人信用情報」に事故記録が記録される
- 「期限の利益喪失」(一括返済を求められる)
- 保証会社より「代位弁済通知書」が届く
- 裁判所より「差押通知書」が届く(競売の申し立て)
- 現地調査の実施
- 競売開始(競売開始決定通知が届いた後)
- 立ち退き
住宅ローンの支払いが滞ると、金融機関より督促状が届き、その後ブラックリストへ事故記録が掲載されます。
それでも滞納が続くと、残りのローンを一括返済するよう求められます。そこで返済ができない場合、保証会社が代わりに金融機関へ返済(代位返済)を行います。
ここで注意したいのは、ローンの返済義務がなくなったわけではないということです。
保証会社は返済額を現金で回収するため競売を申し立て、住宅は競売へかけられることになります。
競売になると、市場価格に比べ安い金額で売却されるため、残債の支払いにも影響が出てきます。そうなる前に、まずは金融機関へ相談に行きましょう。
現在、新型コロナウイルス感染症の影響拡大を踏まえ、金融機関や金融庁では相談窓口が設置されています。
返済猶予などの条件について柔軟な対応が期待できますので、早めに問い合わせてみて下さい。
毎月の住宅ローンがリストラで支払えない場合の対処法
毎月の住宅ローンがリストラで支払えない場合の対処法はこのようなものがあります。
そのほかにも新型コロナウイルスの影響で失業した場合の支援として次のようなものがあります。
- 雇用保険の基本手当等
- 未払賃金立替払制度
- 求職者支援(職業訓練受講給付金)
- 求職者支援資金融資
返済額の軽減申請
返済額の軽減申請は、リストラや病気やケガで収入が減ってしまったとき、一定期間、月々の返済額を軽減してもらう方法です。
この先収入の見込みがある場合には、一時的な対処法として最適です。
ただし期間終了後は、従来の返済額に軽減された分と金利をつけて支払う必要があるため、返済額が増えてしまいます。
そのため、返済のめどが立たない場合は「返済期間の延長申請」をおすすめします。
返済期間の延長申請
返済期間の延長申請とは、住宅ローンの返済期間を延ばしてもらう方法です。
ローンの返済期間が延びることで、金利の負担は大きくなりますが、月々の返済額の負担は少なくなります。
住宅ローンの返済が難しくなったら、まず初めに検討するべき方法といえるでしょう。
「返済額の軽減申請」と「返済期間の延長申請」は、どちらも金融機関との交渉により、月々の返済額を軽減することができるうえ、自宅にも住み続けることができます。
しかし、この先も安定した収入が見込まれず、月々の返済が難しい場合は「再起支援借上げ制度」または「任意売却」を検討しましょう。
どちらも自宅を手放すことになりますが、「競売」を回避するため、選択肢の1つとして考慮する必要があります。
再起支援借上げ制度
再起支援借上げ制度とは、JTI(移住・住みかえ支援機構)の「マイホーム借上げ制度」を利用し、自宅を賃貸に出し、その賃料を返済に充てることです。
3年の定期借家契約のため、状況が改善された場合は自宅に戻ることが可能です。
ただし、金融機関によってはこの制度が利用できない場合もありますので、金融機関への相談が必要です。
任意売却
つぎに「任意売却」という方法です。
「任意売却」とは、金融機関の承諾を得たのち、自宅を売却、その売却額をローン返済に充てることです。
競売に比べ売却額が高いため、ローンの残債を減らすことができます。
さらに、引越し代が売却額より捻出できるほか、引越し日を相談して決めることができるなど、金銭的・精神的負担が軽くなります。しかし、ローンの残債が売却額を上回る場合は、住宅ローンの返済は続きます。
最後に、現在は新型コロナウイルス感染症の影響で失業した方に対し、金融機関では住宅ローンの返済に関する相談窓口を設けています。電話での相談が可能ですので、気軽に相談してみて下さい。
新型コロナウイルスの影響で失業した場合の支援
そのほか、今後の生活に必要な収入を確保するための支援制度もいくつか設けられています。
1つ目は雇用保険の基本手当等です。受給要件を満たせば、雇用保険の基本手当を受給することができる制度です。
2つ目は、賃金が未払いのまま退職した方に対する制度として未払賃金立替払制度があります。未払賃金の一定額を政府が代わりに支払う制度です。
3つ目は求職者支援(職業訓練受講給付金)では、雇用保険を受給できない求職者が職業訓練を受講している間、生活を続けるための給付を受けることができます。
さらに、職業訓練受講給付金だけでは生活が苦しい場合、求職者支援資金融資を利用すると、さらに融資を受けることが可能になります。
このように、自身の状況にあった制度を上手に活用しながら、今後の生活を立て直してみてはいかがでしょうか。
新型コロナウイルス感染症に関する制度については、こちらの「国民の皆様へ」も合わせてご覧になってみてください。