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代表理事コラム

中古不動産の流通が課題

2013年10月11日

アベノミクス政策の「3本の矢」。

その最後の1本として「日本再興戦略」が閣議決定されました。

 

その中にある住宅政策では、“中古住宅の流通を促進しよう”というものがあります。

 

既存住宅の長期優良基準の整備を本年度中に行うことなどを盛り込み、

中古住宅の流通を欧米並みに近づけようという狙いです。

 

日本の住宅市場は世界的に見ても新築住宅の流通が主で、

中古住宅の割合が10%台にとどまっているといわれています。

 

ちなみに、欧米では流通する不動産の80~90%

中古住宅といわれていますから、大きく水をあけられています。

 

 

新築住宅が次から次に完成しますから、自ずと中古住宅の価格は下落してしまいます。

 

例を元に説明します。

 

3000万円の新築マンションを購入したとしましょう。

 

物価や景気に変動がなく、5年が経過。

 

5年前に買ったマンションのすぐ隣に、

同じ規模で同じ広さの新築マンションが出来たとしたら、

その物件の価格はおおよそ3000万円でしょう。

 

そうなれば、5年前に完成したマンションは自ずと

3000万円以下になりますよね。

 

 

 

私は首都圏と関西圏で住宅ローンの返済や任意売却に関する相談を受けていますが、

都心から少し離れたところなら、5年で3割減、10年で半分になってしまった

という事例も目の当たりにしてきました。

 

 

中古住宅の価格が下落する要因として、

日本の場合は新築住宅が矢継ぎ早にできるという点と、

中古住宅に対する信用性が低いということが挙げられるでしょう。

 

中古住宅=古い、毀損している。などの印象をもたれます。

 

また、縁起を担ぐのも日本人です。

 

前の人はどんな人が住んでいたとか、その人はどこへ引っ越すのか、

前に住んでいた人が、ここからもっと良いところへ引っ越すならまだしも、

競売や差押になった家などとなると同じ不動産でも一気に心象が悪くなったりします。

 

 

 

ちなみに政府の成長戦略では、

中古住宅の流通シェアを2020年に25%にするという目標を掲げています。

 

 

リノベーション(大規模改修工事)や

リバースモーゲージ(自宅を担保した老後の資金調達方法)、

更には中古住宅に信頼性を持たせようとホームインスペクション(住宅診断)

なども活気を帯びています。

 

 

中古住宅の流通が進むと、競売ではなく任意売却で不動産を現金化する上で、

有利になることはもちろん、債権者(銀行)などへも多く返済できたりするので、

中古住宅の活性化は、私個人としても大いに賛成です。

 

中古住宅の流通が進むと、縁起を担ぐ人が多い日本人の

気持ちにも変化が見られるでしょう。

 

 

引き続き、中古住宅の流通市場が更に整備されることを見守りたいですね。

 

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