離婚後の養育費にかかわる任意売却の事例です。
こんにちは、任意売却の専門コンサルタントの浜崎です。
全日本任意売却支援協会には、離婚にかかわる任意売却のご相談が数多く寄せられております。
今回は離婚の際の養育費が原因で、自宅を任意売却した方の事例を紹介します。
埼玉県にお住いの木村さん(仮名)です。
木村さんからはアンケートハガキを送っていただきました。
木村さんは10年前、歯科医として開業し、自宅を7000万円で埼玉県内に購入しました。
当初は仕事も家庭も順風満帆で、忙しい毎日をおくりながらも充実した日々を過ごしていました。
しかし、原因ははっきりしていませんが、次第に奥様が心の病を患い、2年前に離婚することになりました。
話し合いの結果、奥様はお子さんを連れて家を出ました。
木村さんは、「出来るだけ子供には不自由させたくない」という思いから、慰謝料・養育費は元奥様の希望を叶えようとしました。
ところが、元奥様は心の病が悪化したのも相まって、木村さんへなんと毎月130万円もの養育費を請求して来ました。
本来であれば、代理人を立ててその法外な請求を却下することは容易であったと思います。
しかし、元奥様は子供を盾に、木村さんと木村さんのお母さんやご兄弟にまでも酷い言葉や手紙で攻撃するようになりました。
木村さんはその攻撃と多忙な仕事の板挟みで次第に思考停止状態になり、要求された養育費を支払い続けました。
当然、木村さんは自分の給料だけでは足りなくなり、医院の運転資金にも手を付け始めてしまいました。
運転資金が不足すると、診療報酬を担保に融資を受けるようになり、
やがて税金等の支払いに困窮するようになりました。
このままでは破たんしてしまうと危機感を募らせた木村さんは、意を決して当協会へご相談に来られました。
木村さんは、自宅以外にも相続で受け継いだ都内の貸店舗を所有しており、そこは今回の借り入れの共同担保に入っていました。
貸店舗は高齢のお母様の生活費の一部になっていたので、木村さんのご希望としては「自宅は売却しても、店舗は何とか売却したくない」ということでした。
しかし、銀行側は共同担保に入っている以上、2件とも売却することが前提として、貸店舗をそのまま残すという選択肢はありませんでした。
木村さんは、貸店舗の売却を迫られ、何とか身内で購入できないかと検討することになりました。
当然、残債務をすべて返済できるようなお金は用意することが出来ません。
そこで、自宅は第三者へ売却し、貸店舗は一旦木村さんのご兄弟が用意できる金額で購入。
そして、残債務も兄弟が引き継ぐという案で、銀行の了解を得ようとなりました。
銀行側も最初は債務がかなり減るということと、他の人が債務を承継するということで、前向きに検討を進めてくれました。
しかし、結局は銀行がその案を否決。
代わりに自宅の任意売却だけを認めて、その分だけ担保を外すことになりました。
当初、木村さんが望んでいた結果になったのです。
銀行側の理由としては、おそらく貸店舗だけでも十分な担保価値があると考えたのではと思います。
いずれにしても、自宅の任意売却をすれば、かなりの債務を圧縮することができるうえ、もう一度医院の運営を正常化するきっかけになります。
銀行と条件交渉後、すぐに自宅の買主を探し始めました。
木村さんの自宅は、かなりこだわった造りをしており、買主を探すのは難航しました。
しかも、かなりの高額帯なので、購入者は限られています。
また、更なる差押えの可能性もありましたが、当協会のネットワークを駆使して何とか契約をまとめました。
無事に任意売却を完了させることができたのです。
木村さんは、そもそもの原因である元奥様への支払いについても弁護士に相談を始めました。
まだ、すべての問題が解決したわけではありませんが、木村さんの抱えていた大きな問題の一つが解決しました。
これからは、お子さんのため、お母様達のため、そしてご自身のためにも解決に向けて一歩ずつ進んで行って欲しいと思います。