借地権付きの建物のリースバック(2)

こんにちは。全日本任意売却支援協会の浜崎です。

 

前回の記事「借地権付きの建物のリースバック(1)」の続きになります。

 

 

伊藤さんは、もし条件の合う投資家が見つかればリースバックをし、

どうしても見つからなければ任意売却して引っ越しもやむを得ないと

いう考えでした。

 

 

今回のポイントは所有権ではなく借地権という特殊な権利であり、

所有権に比べて取引されることが少ないので、一般の方には

あまり馴染みがない点と、借地権が故の制約・費用がかかる点でした。

 

 

特に費用面が大きく、借地権を他人に売却する際には譲渡承諾料

として地主に売買代金の10~15%の現金を支払う契約になっている

ことが一般的です。

 

 

例えば、2,000万円の売買だと200~300万円もの譲渡承諾料を支払わなければ

ならないので、買主は合計2,200~2,300万円を支払うことになります。

 

 

伊藤さんから依頼を受けて、すぐに債権者の銀行と交渉を

開始しましたが、銀行は残債務+遅延損害金+競売費用の

合計2,700万円全額の返済が出来なければ、競売で行くという

非常に強固な姿勢でした。

 

 

この2,700万円にさらに譲渡承諾料と諸経費が合計300万円かかるので、

合計では3,000万円で販売しないと話がまとまらないのです。

 

 

ところが、伊藤さんのお宅は周辺相場から見ると、2,400~2,500万円だったので、

販売活動も大変苦戦しました。

 

 

そして、リースバックに協力してくれる投資家は難しかったのですが、

任意売却に協力してくれる方を見つけました。

 

 

しかし、やはり金額の条件面でどうしても銀行側と折り合いが付かず、

交渉開始から2カ月もの時間が経過してしまいました。

 

 

このまま競売での決着に持ち込まれるのではないか…。

そう思った時、弁護士から連絡がありました。

 

 

何と、今回の状況を周りから伝え聞いた伊藤さんのお姉さんが、

リースバックへの協力を申し出てくれたのです。

 

 

伊藤さんも身内には迷惑を変えたくないと、相談はしていなかったので、

当初、お姉さんからの申し出には難色を示していました。

 

 

しかし、お姉さんにとっても伊藤さんの家は自分の育った実家でしたので

何とか守りたいという気持ちが強く、伊藤さんを説得したとのことでした。

 

 

あとは銀行との条件がまとまれば、親族間のリースバックが可能となる

のです。

 

 

ところが、ここで問題が1つありました。

 

 

伊藤さんのお姉さんが用意できる現金は2,800万円が限界でした。

銀行の求める返済額・その他諸経費で総額3,000万円が必要です。

 

 

この条件の調整が今回一番のポイントでした。

 

 

銀行の抵当権設定額は2,500万円でしたので、何とか2,500万円の

返済でまとめようとしましたが、遅延損害金、競売費用をどうしても

払わないと納得しないの1点張りです。

 

 

私と弁護士で何度も打ち合わせをして、銀行との交渉を続けました。

最悪、供託も視野に入れて、こちらの主張も続けました。

 

 

それでも、1ヵ月が過ぎ、2カ月目に入った時、もうこれ以上は

引き延ばせないと最後の交渉を行いました。

 

 

弁護士の強い援護もあり、ようやく銀行との話し合いがまとまりました。

結果としてこちらの主張が認められ、抵当権設定額の2,500万円を

弁済することで抵当権の解除には応じてもらえることになりました。

 

 

そして、すぐに契約と決済を行い、無事に競売を取り下げることが出来たのです。

 

 

伊藤さんはお姉さんが大家さんとなり、引き続き同じ家に住み続ける

事が出来るようになりました。

 

こちらは伊藤さんから頂いたアンケートです。

 

借地権付きの建物のリースバック

 

最後まで諦めない粘り強さが今回成功に導けた要因だったと思います。

 

おわり

 

リースバック

 

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