任意売却に失敗した例を紹介します。
みなさん、こんにちは。全日本任意売却支援協会の松山です。
今回は、失敗した実例を元に、任意売却を進めるうえでの注意点をお伝えします。
Aさんは、15年前にマンション購入のため、次の3ヵ所から合計3,600万円の住宅ローンの借り入れをしました。
(1番抵当)住宅金融支援機構から2500万円
(2番抵当)年金福祉から800万円
(3番抵当)M都市銀行から300万円
住宅ローンの返済はM都市銀行の口座から引き落としとなっており、それぞれ、住宅金融支援機構が月々9万円、年金福祉が月々2.8万円、そしてB都市銀行は1.1万円の合計12.9万円です。
しかし、45歳になった2年ほど前にリストラにあいました。その後Aさんは、定職が見つかることなく、徐々に任意売却が頭をチラつきます。
そしてAさんはインターネットで「任意売却」というキーワードで検索して色々と調べ始めました。特に、今後のスケジュールが知りたくて「競売になった場合、どういう順序で手続きが進んでいくのか?」チェックをしたとのことです。
そうすると「6か月ほどは滞納しても待ってくれる」との救いの言葉がありました。これを見たAさんは、6か月間は滞納しても競売にならないと自己判断したのです。
Aさんはその後、「定職が見つかるまでの間」とたかを括り、住宅ローンの滞納が始まります。その間、銀行からの督促は一切無視し続けました。
しかし真面目なAさんは、M都市銀行の返済1.1万円は支払えると思い、毎月指定口座にその金額だけ支払い続けたのです。
その後どうなったかというと・・・仕事が見つかることもなく、ついに住宅金融支援機構は競売の申し立てをすることとなります。
その時の残債や相場は以下の通りです。
住宅金融支援機構:残債および競売申立費用 1,900万円
年金福祉:残債600万円
M都市銀行:200万円
マンション管理費滞納:50万円
合計2,750万円
これに対して、マンション相場は1800万円となります。
そしてAさんは競売申立から2か月経過後に当協会に「任意売却」の相談にいらっしゃいました。
ご希望は「任意売却で手元にお金を残したい」とのこと。しかし、ここで問題が発覚します。
M都市銀行が“代位弁済”されていないのです。
これの何が問題かというと・・・通常は、住宅ローンの滞納が続くと代位弁済が行われ、担当窓口が保証会社に移行します。
しかし、代位弁済が行われていないとなると、担当窓口がM都市銀行のままなのです。
保証会社・・・債権回収会社のため、一部の弁済で抵当権の抹消に応じてくれる。
銀行・・・保証会社から必ず全額弁済を受けられる立場にあるため、全額弁済でないと抵当権の抹消に応じてくれないという明確な違いがあるのです。
これは任意売却の可能性を著しく下げる一因となります。
Aさんはご自分の判断で、M都市銀行にだけは支払いを続け、その結果、M都市銀行は滞納の事実が認められず、代位弁済の手続きが進みませんでした。
通常6か月以上滞納しなければ代位弁済手続きは取られません。結果、任意売却を諦めざるを得なくなりました。
様々な問題が複雑に絡まりあっているのが任意売却です。
任意売却をしようか検討を始めた、という方は必ず専門家に相談してから判断してください。
終わり
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