１棟収益の任意売却～その1～
こんにちは、任意売却コンサルタントの浜崎です。
最近はサラリーマン大家さんも流行っており、
会社勤めをしながら不動産業を行う方も増えています。
書店では多くの関連書籍が売られ、将来に不安を抱えた方は、
サラリーマン大家さんのノウハウを勉強するセミナーにも
参加しているようです。
しかし、書籍やネットで宣伝している成功者の方はまだまだ
ほんの一部で、素人の方が少し勉強しただけではそう簡単に
利益を上げられません。
マンションの1室や中古の一軒家程度なら、仮に持ち出しが
発生しても何とかカバーできますが、複数室あるアパートや
マンション1棟となると、空室や修繕で飛ぶようにお金が
出ていき、あっという間に赤字に、そして借金を抱えることに
なるのです。
ちょうど今、金融機関も不動産業界への融資を加速させており、
そういった新規の取得への融資が通りやすくもなっています。
新しく始めた方はもちろん、追加で2部屋目を購入する方、
2棟目を購入する方には追い風が吹いています。
今回は、1棟目を購入して順調に利益を上げていましたが、
2棟目が上手く回らず、任意売却を行うことになった方のお話
をご紹介します。
埼玉県にお住まいの塚本さん（仮名）です。
塚本さんは、大手外資系の会社にお勤めしながら、奥様、娘さんと
一緒に何不自由なく暮らしていました。
ある時、ネットで目にしたサラリーマン大家さんの成功体験記を見て、
不動産投資セミナーに参加し、老後の保険代わりにと、1棟のマンション
を購入することにしました。
塚田さんはかなり年収も高かったので、あっさりと1棟目の1.5億円は
融資が付き、無事に購入することが出来ました。
給料以外にこのマンションの家賃が毎月入って来る生活が始まり、
塚田さんは定年したら不動産賃貸業で生計を立てることも考えたそうです。
そんな折、塚田さんは元同僚の方にその方の転職した別の
外資系の会社への転職を勧められました。
現在の会社では年収もキャリアも頭打ちでしたが、新会社では
年収もキャリアも上がる条件を提示してくれました。
家族で話し合った結果、家族みな賛成してくれ、53歳にして
初めての転職をすることになりました。
転職も無事成功し、さらに仕事にがんばっていこうという時、
高齢の父が亡くなり、母も特別養護老人ホームへ入居することに
なりました。
実家は誰も済まなくなったので、売却を考えていたところ、
1棟目を購入した不動産屋から2棟目を紹介されました。
1棟目で成功をしていた塚田さんは、何が何でも2棟目が
欲しくなり、さっそく銀行に融資を申し込みました。
しかし、今回は物件の評価が低く、1棟目の銀行も、他の銀行も
融資が難航しました。
ようやく1行だけ融資に応じてくれましたが、年利が1棟目の
2倍もする高利が条件でした。
塚田さんの家族は、収支が危ういと2棟目の購入に反対しました。
しかし、何としても2棟目を購入したい塚田さんは、ちょうど実家の売却で
入ってきたお金も手付として入れて、家族に内緒でその条件で2棟目を購入
することにしました。
家族の知らないところでドンドン契約を進め、ついに念願の2棟目を
手に入れることが出来ました。
家族も事後報告を受けて驚いたのですが、購入してしまったものは
仕方がないので、渋々ながら承諾しました。
このまま無事に2棟目を運営できれば、成功へまた1歩近づくはず
でした。
しかし、この2棟目は11部屋中2部屋の空室があり、しかもリフォームが
されていない状態での購入でした。
このリフォームにかなりの費用が必要で、同時にリフォームする費用が
無かった塚田さんは1部屋ずつリフォームして募集を開始しました。
ところが、駅からの距離も15分以上あったので、なかなか募集しても
借りてくれる人はおらず、家賃収入は入っても、ローンと維持費で
ほとんど手元にはお金が残らない状態でした。
そんな折、塚田さんは転職した外資系の会社から解雇予告を受けました。
外資系の会社はかなり給与も良いのですが、少しでも実績が下がると
容赦なく解雇をします。
塚田さんは退職まで残り2か月を残して、マンション2棟と借金3億を
抱えることになったのです。
つづく
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