相続した家をリースバックするときの注意点
みなさん、こんにちは。全日本任意売却支援協会の鈴木です。
二十四節気でいうところの大寒にあたるこの時期。
昨日はポカポカ陽気の過ごしやすい一日でした。次の節気は立春ですのでこの寒い日々ももうすぐの辛抱ですね。
さて、本日は「相続にて不動産取得された方のリースバック」の注意点をお伝えします。
みなさんの中には、相続にて不動産を取得されている方もいらっしゃると思います。
ご両親から受け継いだ不動産。
ギリギリまで手放すことなく資金のやりくりをしたいと思うのは、当然のことと思います。
先日ご相談された東京都調布市のAさんもそうでした。
概要は以下の通りです。
不動産評価:8,000万円
不動産担保ローン:残4,000万円
相続発生日:平成15年(建物は平成5年築でお父様の名義での借入)
Aさんのご希望は「息子にローンを組ませたてそのまま住み続けたい」というもの。
ちなみにAさんのローンの借入4,000万円は事業用に借りたもの。
最初は500万円からのスタートだったのですが、資金が詰まるたびに借入を増やし、つい先日1,000万円を借りた直後のご相談でした。
不動産の評価からしても、十分にリースバックは検討できそうです。
しかし問題は税金でした。
まずリースバックというものは形式的には「売却」となります。Aさんの場合以下の税金が発生するのです。
その税目は「譲渡所得税」というものです。
この譲渡所得税というものは・・・「譲渡所得=売却金額-取得原価」に対して約20%の所得税等が発生します。
この税金はどなたにも課税されるものです。しかし、ご自身で住宅ローンを組んで購入された方は、取得原価が売却金額を上回るケースはレアですが、相続の場合は違います。
相続の場合、先代が購入した金額自体が取得原価となりますので、実勢相場と比べるとかなり割安であるということ。
更にはその証拠書類(先代購入時の売買契約書等)がない場合には、売却金額の5%を取得原価とみなして計算がなされます。
つまり売却金額の95%に対して約20%の課税となるのです!
そしてもうひとつ。
居住用財産については譲渡所得が発生した場合でも、3,000万円までは特別控除によって非課税となるのですが、これは親族間売買の場合については特別控除の適用はできなくなります。
つまりAさんの場合、リースバックで息子さんに売却しようにも、仮に5,000万円で売却したら1,000万円ほどの譲渡所得税が発生してしまうのです。
(低額譲渡等のリスクはここでは割愛します。)
事業用資金については借入が可能であれば、目いっぱいまで借入をしたくなるお気持ちはわかります。
息子さんとの売買代金を抑えることができれば、土地はご相談者名義のままでという解決方法も可能でした。
結果として息子さんへの売却は諦めて、投資家へご紹介してリースバックを完了しました。
お早めのご相談を心がけて下さい!
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相続した不動産は、相続税など税金のことについて注意しなければならない点が少なくありません。