無事にゴミ屋敷のリースバックが完了

前回のつづき

杉本さんから、今までの経緯と希望をしっかりとお聞きして、これからの方針を一緒に考えました。

今回のポイントは3つあります。

 

ポイント①
自宅を売却し住宅ローンを全額返済すること。

これは、マンションを査定すると問題ないことが分かりました。

 

ポイント②
手残り金で数百万円に膨れ上がった借金を完済すること。

これについても、相場価格で買ってもらえれば手残り金も十分に見込めるので問題ありませんでした。

 

ポイント③
毎月の給与で支払っていける家賃設定にしてもらう。

この家賃の金額設定が一番のネックでした。

リースバックに協力してくれる投資家は、利回りを考慮して投資判断をするので、多く投資すれば家賃は上がり、少なく投資すれば家賃は下がります。

つまり、住宅ローンと借金を全額返済する相場価格で投資家にリースバックをお願いすると、必然的に家賃金額は上がることが予想されます。

実際に、多くの投資家に話をした時もそのような回答でした。

しかし、逆に家賃金額に合わせてしまうと、今度は杉本さんの借金が返せなくなります。今回は、相場に出来るだけ近い価格で売却すると同時に、家賃金額も下げる必要があり、相反する条件をまとめなければいけませんでした。

 

当協会のネットワークから候補となる投資家を選別し、交渉を開始しました。

しかし、相反する条件の合意は容易ではなく、かなり大変でした。それでも何とか候補となる投資家を見つけ、杉本さんの自宅での両者の面談までこぎつけたのです。

数日後、投資家と一緒に杉本さんの自宅に伺いました。私は室内の状況を事前に聞いていたのですが、それでも玄関を入った時、多量の荷物に圧倒され、思わず足が止まりました。

 

最初に手前の部屋から見て回りましたが、中に入ることができない程の荷物で、入り口から中を少しのぞく程度しかできません。

荷物で左右を埋め尽くされた狭い廊下を抜け、リビングに到着しても、人が1人座るスペースがようやくあるだけでした。

投資家にはそこに座っていただきました。

その後、杉本さんと投資家で今までの経緯や今後の展望が話し合われました。その日はそれで終わり、賃貸金額については後日お伝えするという事になりました。

 

数日後、投資家から連絡がありました。

家賃保証会社の審査も無事通過したので、購入金額と家賃金額は杉本さんの希望額で良いとのことでした。

しかし、一つだけ条件が付きました。

それは、決済の時にハウスクリーニングを入れて、家を一度きれいにすることでした。さすがに、あのままのごみ屋敷状態では、万一杉本さんが退去した時に片付け等でとても苦労します。投資家の心配も最もでした。

 

杉本さんとも相談した結果、杉本さんもやはり家の中もきれいにしたい思いがあり、投資家の条件を受け入れることになりました。

しかし、杉本さんだけではもはやどうにもできないレベルにまでなっていたので、そこはやはり専門業者に依頼することにしました。専門業者の見積もりでは数十万円かかる見込みでしたが、荷物の量や状態からみてそれは妥当でした。

 

ハウスクリーニングの件はそれで何とか解決する見込みが立ちましたが、今回新たに別の問題が生じました。

金融機関に連絡し、住宅ローンを全額返済する手続きを取ろうとしたのですが、何と滞納分を先に全額返済しないと手続きを取らないとの回答でした。

他の金融機関では今まで1回もそのようなことが無く、実際に杉本さんも滞納分を返済するお金はありませんでした。

話が膠着状態になり、私と投資家が一緒に金融機関と何度も交渉しました。交渉の結果、今回は特別という条件で何とか手続きを進めることが出来るようになりました。

 

その結果、それから数週間後に無事リースバックの決済を終えることが出来ました。

杉本さんは、住宅ローンも借金も完済しました。施設にいる両親にも現状報告し、大変喜んでもらえたそうです。

そして、きれいになった部屋で今は元の通りの生活を送っています。

 

おわり

 

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