相続放棄と任意売却

こんにちは、任意売却コンサルタントの浜崎です。

今年の旧正月は2月5日でした。旧正月は旧暦の正月で、日本では明治6年に改暦されてから1月1日が正月となったそうです。

今年は元号も変わるので、また月日が流れたら「平成」が懐かしく思える日が来るのではと思います。

 

さて、今回は一旦相続放棄した不動産を任意売却できた方のお話です。

ご相談者は、神奈川県にお住まいの岩本さん(仮名)です。岩本さんのお父さんは雑貨の卸会社を経営して来ました。人柄も良く、誠実な仕事ぶりで、取引先や周りの方々に長らく愛されて来ました。

ところが、4年前に病気で倒れ、入院されました。そして入院して回復を目指していましたが、3年前に亡くなってしまいました。

お父さんの経営していた雑貨卸会社は、岩本さんが継ぐことになりました。

岩本さんにはお兄さんがいますが、すでに大手企業に就職しており、お父さんと一緒に仕事をしていた岩本さんが継ぐのが妥当という判断になったからです。

 

しかし、経営に全くタッチしていなかった岩本さんが帳簿等を見て経営状況を把握すると、会社とお父さん個人がかなりの借金をしていることが分かりました。

そして、銀行とお父さんが知人から借りた事業資金の担保として、自宅に抵当権が2つも設定されていました。さらにはお父さん個人の借金が原因で、別の債権者の差押もお父さんの持ち分に入っていたのです。

 

とても自分達だけで支払える金額ではないと思った岩本さんは、まずお父さんの相続財産を母と兄と一緒に放棄しました。

しかし、抵当権者に返済が出来ないのなら競売の申し立てを行うと言われ、仕方なく自宅マンションを売却して返済をすることにしました。

 

ところが、亡くなったお父さんの持ち分を相続放棄すると、それについての処分権限も失うので、マンションの売却が出来ないという事が分かりました。慌てた岩本さんは、自分たち以外で相続権を有する従弟に、限定承認をお願いすることにしました。

限定承認とは、相続を受けた人がプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐという方法です。この方法は、マイナスの財産(借金)の金額がプラスの財産より明らかに多い場合や、分かっていない借金が残っている可能性がある場合などに有効な方法です。

 

今回は明らかにお父さんの借金の金額がプラスの財産より多いので、限定承認になりました。

ひとまず、限定承認の手続きも終わり、さあこれから売却を行おうと、岩本さんはインターネットで調べて当協会の事を知りました。相続の件や債権者の件でも複雑なことになっていたので、普通の不動産会社ではなく専門家に依頼がしたいと思ったそうです。

相談にお見えになった岩本さんのご希望は、抵当権者や差押権者と交渉し、自宅マンションを任意売却した上で、さらに手元に別の借金返済に必要な資金を残したいとうものでした。

 

つづく

 

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