管理費の滞納。1年がかりで成立した任意売却(2)

こんにちは、全日本任意売却支援協会の浜崎です。

「管理費の滞納。1年がかりで成立した任意売却(1)」の続きになります。

 

 

とにかくこのままでは任意売却を始める前に競売が入札になってしまう

恐れもあったので、すぐに管理組合の理事長か管理組合に連絡を

取る必要がありました。

 

 

 

鶴岡さんは引っ越してから長い年月が経っており全く連絡先を知らないので、

私は実際にマンションに何度か訪問し、1件1件訪ねては現在の理事長さんを

突き止めました。

 

 

そして、ようやく理事長さんとお会いできると、管理会社にすべて

任してあるとのことでしたので、今度は管理会社に連絡をしました。

 

 

管理会社からは弁護士に依頼してあるという事で、最終的に

今回の窓口となる弁護士にようやくたどり着くことが出来たのです。

 

 

後日、私は鶴岡さんと管理組合の代理人弁護士を訪ね、今までの

経緯と今後の任意売却の展望を相談しました。

 

 

弁護士との打ち合わせ

 

 

弁護士の話では管理組合も高額の滞納管理費の回収に途方に

暮れていたので、今後は協力できる部分は協力すると約束してくれました。

 

 

その後、年明けにようやくこのマンションを購入してくれる候補者が見つかりました。

しかし、まだすぐには債権者が任意売却を進めることに同意してくれませんでした。

 

 

そうこうしている間に競売もどんどん進み、のこり日数もあと4か月になり、

鶴岡さんも私もかなり焦りが出て来ました。

 

 

そして何度も債権者と話し合い、ようやく3月になり、任意売却の

許可が下りました。

 

 

今度は管理組合の代理人弁護士と何度も話し合い、管理組合の主張する

弁護士費用も含めた220万円ではなく、滞納している管理費等の170万円で

抹消に応じてくれることになりました。

 

 

あとは債権者が最終的な配分額に了解をしてくれるだけとなった時、

今度は債権者が競売申し立て者の管理組合の配分額について納得できないと

言い出したのです。

 

 

管理組合側の弁護士にも再度交渉しましたが、管理組合もこれ以上

条件を下げる事には応じられないとの一点張りでした。

 

 

債権者と管理組合の駆け引きを収めるべく、何度も何度も交渉し、

ようやく折り合いがついたのは入札まで残り1ヵ月になった時でした。

 

 

ようやく契約を行う事が出来ると安堵していた矢先に、今度は管理会社

から連絡があり、鶴岡さんの部屋の玄関ドアは総会の決議で必ず交換して

もらわないといけないことになっており、鶴岡さんが出来なければその義務は

新しく購入した人に引き継がれるとのことでした。

 

 

鶴岡さんが引っ越しして何年も経過し、他の部屋はすべて劣化した玄関ドアを

所有者負担で交換していたのです。

 

 

当然生活が苦しい鶴岡さんにその費用30万円を負担できるはずもなく、

ここで購入希望者に再度ドア費用の負担もお願いせざるを得なくなりました。

 

 

ただでさえ、購入希望者には部屋の中の残置物処理もお願いしていたので、

今回は購入する話を一度保留にしてほしいという事になりました。

 

 

時間もなく、もう少しのところまで来てどうしたら良いのかと焦りましたが、

やれるだけのことをやったので、あとは判断を待つのみでした。

 

 

数日後、購入希望者から連絡があり、今回はドア費用も負担いただける

ことになりました。

 

 

それから2週間後、決済日を迎えた鶴岡さんは、奥さんと一緒に

ご来社され、最初はとても緊張されていましたが、無事に終わった時

安堵の表情で力が抜けたようでした。

 

 

最後に鶴岡さん達と今回の任意売却を振り返ったのですが、

最初のご相談から決済日までなんと1年と1ヵ月が経過していました。

 

 

今回、いろいろなことがありとても大変でしたが、皆がまとめようとする

気持ちが最後は1つになっていったような気がします。

 

 

最後まで諦めないという良い経験になったお話でした。

 

 

おわり

 

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