任意売却と離婚~後編~
こんにちは、任意売却コンサルタントの浜崎です。
今回は前回の「任意売却と離婚~前編~」の続きです。
面談で西尾さんのこれまでの苦労と家族への思いを聞きました。
そして、今離婚の危機にあることも包み隠さず話してくれました。
西尾さんは話をしながら自分の不甲斐なさと後悔に涙を流していました。
少しでも西尾さんの希望をかなえてあげたいと思い、面談後、すぐに買主を探し始めました。
今回はマンションの購入時に、奥さんのお父さんに資金援助をしてもらい、かなりの頭金を入れていたので、残りの住宅ローンを返済してもさらに手元に資金が十分に残る見込みがありました。
しかし、あまり時間をかけてしまうと保証会社が競売の申し立てを予定していたので、出来るだけ早く良い条件の買主を見つける必要がありました。
そして依頼から約1ヵ月が経った頃、無事に条件に合う買主を見つけることが出来ました。
その後、売買契約を行い、引越の準備に入りましたが、やはり離婚は不可避で、西尾さんと奥さん達は別々の新居へ引っ越すことになりました。
奥様にもご主人が不在の時にお話を少しお伺い出来ましたが、やはり自宅を失うことはきっかけに過ぎず、普段からの信頼関係が壊れてしまったのが離婚を決意した一番の原因だという事でした。
西尾さんは、住宅ローンの返済額と自分の引越にかかる最低限の金額以外のすべてを奥さん達に渡すことにしました。
せめて新しい生活をスタートさせる奥さんと子供達に不自由をさせないことが父親として最後に出来ることだと思ったからです。
決済の日、西尾さんと奥さんは2人そろって来てくれましたが、2人の間に会話は無く、事務的に淡々と手続きを行いました。
西尾さんは、離婚の条件で子供達と毎月1回は会えることにしてもらえたそうです。
一生懸命に働いて来たのに家と家族を失ったケースでしたが、家を売却することが原因ではなく、それはきっかけに過ぎないと思います。
多くの相談者を担当させていただいて感じることは、普段からの家族との会話や情報共有が、危機に陥った時の信頼感につながるのではないかと思います。
確かに家を失う事は家族にとっての一大事です。
また、奥様にとっての家は、ご主人にとっての家よりも大変大きな存在であることが多いです。
しかし、それは疑似的な心のより所であるだけで、安心・信頼できる家族という大きな心のより所があれば、どこに住むことになっても大丈夫なのです。
任意売却や離婚が不可避の事ももちろんありますが、私はお子さんにとって一番影響のない選択肢を選んであげることを望みます。
おわり
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