「妻の借金と任意売却」~前編~

こんにちは、任意売却コンサルタントの浜崎です。

今回は奥さんの借金が原因で競売になりましたが、入札日に任意売却出来た方のお話です。

 

相談者は、神奈川県にお住いの山下さん(仮名)です。

山下さんは製造業の会社に22年務めて来ました。しかし、57歳になった時に体力的な限界とストレスから早期退職を選び、4年前、当時の下請け会社にアルバイトとして再就職しました。下請けでは現場の工場で製造する仕事に携わり、大変ではありましたが、実際に物造りが出来る楽しみも出来ました。

一方、奥様もパートに出て家計を助けていました。息子さんも会社に勤めており、将来は学費を貯めてコンピューター系の学校に進学する夢を持っていました。

 

それから3年経った昨年、奥様がガンで他界されました。山下さんは突然愛する奥様を失い、大変ショックを受けました。

しかし、住宅ローンもまだ残っており、残された2人でこれからも頑張っていこうと決意を新たにしました。

そして、奥様の葬儀も済ませた頃、住宅ローンを組んでいる銀行から手紙が届き、そこには保証会社へ窓口が移ると書かれてありました。山下さんは最初、何のことか意味が分かりませんでした。

 

会社勤務の時も、転職した時も給料は奥様にすべて渡していたので、住宅ローンも滞納していることは無いと思っていたからです。

 

ところが、手紙を読むと、何度も催促を受けていましたが住宅ローンの支払いがされないので、保証会社へ窓口を移して全額2,100万円一括請求するというものでした。山下さんはその手紙に書かれていた保証会社の担当者へすぐに連絡をして、事情を説明しましたが、すでに手続きが保証会社に移った後でしたので、一括弁済しか受けないとの一点張りでした。

そして、このまま返済をしなければ競売の申し立てをされ、数か月後には自宅を失う可能性があるということを聞きました。最愛の奥様だけでなく、思い出のある自宅まで失うという話に、山下さんは更にショックを受けました。

 

それから何とかしなければという思いはあっても、どうすればよいか全くわからず、数か月が経過しました。その間にも奥様宛の借金の請求書がいろいろなサラ金やクレジット会社から届きました。どうも、奥様には浪費癖があり、次々に借金を重ねては、その借金を借金で返すというような自転車操業に陥っていたようでした。

 

そんなある日、山下さんの手元に今度は、裁判所から競売の申し立てがされて、手続きが開始されたとの手紙が届きました。

「このままでは家を失ってしまう…何か助かる方法があるはず…」

そう思った山下さんはインターネットで調べるうちに、任意売却という方法があることを知りました。家が競売になってしまうことを何としても回避したい一心で、山下さんは当協会に連絡をくれたのでした。

 

次回に続きます。