「相続放棄と任意売却」の続き

こんにちは、任意売却コンサルタントの浜崎です。

前回の「相続放棄と任意売却」

こんにちは、任意売却コンサルタントの浜崎です。 今年の旧正月は2月5日でした。旧正月は旧暦の正月で、日本では明治6年に改暦されてから1...

の話の続きになります。

岩本さんからご依頼をいただいた後、抵当権者や差押権者との交渉に臨みました。
売買予定価格と債務の乖離がありましたが、努力の甲斐あって今回無事にすべての方との条件がまとまりました。

 

そして、岩本さんのマンションが人気のあるエリアにあったこともあり、比較的スムーズに購入希望者も見つけることが出来ました。その後、売買契約の締結も行い、これであとは決済の段取りというところまで来ました。

ところが、今回の一番のポイントは実はこの後にあったのです。

差押権者と差押の解除に関する打ち合わせを始めたところ、当初は限定承認を行った際の資料があれば大丈夫と考えていたのですが、差押権者側の弁護士が裁判所に確認したところ、相続権限のある方全員の出生から現在までの戸籍謄本と全員の相続放棄を証明する資料、また限定承認を行った際の資料も全部必要とのことになりました。

そして、岩本さんのお父さんの相続権限のある方を調べると、兄弟姉妹が8人いるので、全部で17人分の資料をそろえなければなりませんでした。しかも実家は熊本県でしたので、皆さんに取得して送ってもらうよう岩本さんに連絡してもらいました。
当初はすぐに届くと思っていましたが、普段自分の戸籍謄本を取り慣れていない高齢者の方ばかりなので、なかなか思うように集まりませんでした。送ってもらった書類を確認すると、抜けている期間があったり、不十分なものだったりして、何度も説明の連絡と手紙をお送りしました。

また、何回か結婚と離婚を繰り返したり、度々他府県に引っ越したりした方もいて、9月に売買契約してから書類が全部そろうまでなんと3か月もかかりました。

 

そして、ようやく年の瀬も迫った12月終わりに無事決済を行うことが出来ました。決済には、岩本さん兄弟と限定承認を行った従弟の方もお見えになり、皆でこの3か月間の苦労をねぎらいました。岩本さんは、債権者への返済を完了させ、お父さんから受け継いだ会社を潰すことなく再度盛り返すよう今も懸命に飛び回っています。

相続放棄は場合によっては有効な手段ですが、その前に本当に相続放棄をして問題ないかよく考えたり、専門家に相談してから決断しても遅くはないと思います。また、今回の岩本さんの場合は、限定承認をしてくれた従弟や、相続人の方々が最後まで協力的でした。

 

しかし、世の中全員が皆協力的な親戚ばかりとは限りません。一人でも非協力的な方や、行方が分からなくなった方がいたら、それだけで大変な労力を伴います。普段からちゃんと親戚づきあいをしておくのも決して無駄ではないと思います。

おわり

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