東京都狛江市の任意売却事例(後半)
全日本任意売却支援協会の浜崎です。
前回からつづきです。
野島さんの住宅ローンの残額を確認した後、すぐに銀行に連絡を行いました。銀行としても、”債務者が逮捕拘留されてしまった時の対応”は異例であり、最初はどう対応するか検討するのに時間をいただくとの返事でした。
銀行が対応を協議している間も住宅ローンの支払いが滞り、遅延損害金は時間とともに増えていきます。
だからと言って、指をくわえて待っているわけにはいきません。私は今やれることとして、すぐに買主を探すことにしました。
野島さんは自宅を購入する際に、お父さんの支援を受けて頭金を入れており、任意売却後の残債(住宅ローンの残り)についてはかなり少なくなりそうなので、分割で返済していけそうです。
今回のポイントは、4つありました。
ポイント①
売主の野島さんが逮捕留置されているので、契約時も決済時も本人不在で行わなければならない。
→留置所やその後移送された拘置所に何度も足を運び、手順に従って書類を準備しました。また、司法書士の協力も仰ぎ、本人不在の場合でも決済が行えるよう準備を整えました。
ポイント②
家の中の大量の荷物を運び出す必要があるが、高齢のお父さんには無理であり、その大量の荷物の行き先が決まっていない。
→引越屋のサービスを利用して荷詰を行い、荷物は何とかお父さんの家の空いている部屋に運び込むことにしました。
ポイント③
実印や印鑑証明カードの所在が不明で、必要書類がそろわない可能性がある。
→お父さんと一緒に家の中を探し、実印やその他の必要な書類等もすべて見つけることが出来ました。
ポイント④
すべて本人不在で手続きをすることについて、銀行が認めてくれる必要がある。
→銀行の判断待ちになったので、他の準備を進めながら、結果を待つことにしました。
買主を探していたところに、こちらの提示した条件で野島さんの家を買いたいという方からの問い合わせが入りました。
荷物だけ撤去してくれれば、そのままの引き渡しで良いという条件なので、銀行の了解が取れ次第契約を進めることになりました。
しばらくして、無事に銀行の了解も取れ、売買契約が完了。その後は、引越と書類をいくつか準備して決済を迎えるだけになりました。
しかし、猛暑が続いていたある日、お父さんから連絡が入りました。
お父さんが以前から患っていた腎臓病が悪化しており、透析の準備の手術入院を行わなければならなくなったというのです。
決済への立会いも引っ越しや書類の準備もお父さんの協力なしには出来ません。入院前に何とか決済を行うべく、買主にも決済の準備を早急に進めてもらいました。そしてお父さんの入院の3日前に何とか決済を行う準備が整いました。
その後、無事に決済を終えることが出来ました。出席してくれたお父さんも少しホッとしていました。しかし、お父さんの自宅には野島さん一家の大量の荷物がまだ段ボールのまま詰め込まれています。
お父さんが本当に安心できるのは野島さんが無事に自宅に戻って来て、また社会復帰した時です。そんな息子の将来や孫の安否を気にしながら、自分の病気とも戦っていかなければならないお父さんの気持ちを考えると、今回の任意売却はほんの通過点に過ぎないのです。
野島さん一家とお父さんに1日でも早く元の穏やかな生活が戻ってくるよう心から願うばかりです。
おわり