経営者の任意売却とリースバックの事例(前編)

こんにちは、任意売却コンサルタントの浜崎です。

今年は夏に台風が異常な動きをしたのが印象的でした。東から西に動く台風は今まで経験したことがなく、たまたま帰省していた時でしたので、帰りの飛行機が欠航して予定より2日も帰るのが遅れました。

自然には逆らえないので余裕をもった行動を心がけようと思いました。

さて今回は、ある会社の社長さんが勇退した後に会社が倒産し、その債務の保証に巻き込まれてしまったが、任意売却とリースバックで危機を乗り越えたというお話です。

 

埼玉県にお住いの豊崎さん(仮名)です。

豊崎さんはギフトショップに商品を卸す会社を経営しておりましたが、年齢も70歳を迎え、昨年6月に新社長へバトンタッチし勇退しました。

長年仕事一筋で頑張ってきたので、奥さんと愛犬とゆっくりと余生を過ごす予定でした。会社からは長年にわたる貢献の対価として、特別慰労金2000万円ほど支給されることになっていました。

ところが、支給予定の日になっても支給がされず、不安になった豊崎さんは会社に確認を取りました。すると、会社は特別慰労金の金額も大きいのですぐには出せず「退職から1年後に支給します。」と提案されました。

年金も月に23万円ぐらいあったので、生活には支障ないと思い、豊崎さんは1年後の支給に同意し、平穏な引退生活をスタートしました。

 

楽しい引退生活もあっという間に1年が過ぎ、いよいよ約束の特別慰労金がもらえる日が近づいてきました。豊崎さんは支給日を楽しみに指折り数えて待っていると、ある日会社から1本の電話がかかってきました。

「豊崎さん、誠に申し上げにくいのですが、当社は資金繰りの悪化から、業務を継続できず、会社を清算することになりました。よってお約束していた特別慰労金は支給できません。」と伝えられました。

 

最初、それを聞いた時、豊崎さんは全く何を言っているのか認識できませんでした。言葉は勿論分かるのですが、自分の事と思えず、頭も真っ白になったそうです。

会社…清算…特別慰労金…なし

少ししてようやくその事実を受け止めることが出来ました。当然会社に対して腹も立ちました。後を託した新社長にも文句の一つも言ってやりたかったそうです。

しかし、豊崎さんは自分が経営していた時も何度か危機があり、現社長も決して遊んでいたわけではないと思うので、責めても仕方がないと思ったそうです。

それよりも、勇退はしましたが、会社のいくつかの借り入れの連帯保証人になっているものがあり、そのことの方が心配でした。

 

案の定、数日たって会社の借り入れ先の銀行から連絡があり、残りの債務を一括で返済するように言われました。しかし、とても年金生活者が支払えるような額ではなく、すぐに豊崎さんのその銀行にある個人口座も凍結されてしまいました。

そうなると、同じ銀行で住宅ローンを組んでいたので、今度は住宅ローンが滞納し、家を競売にかけられる可能性が出てきました。

後編につづく