共有者が失踪した場合の任意売却(1)

皆さん、こんにちは。全日本任意売却支援協会の新井です。

 

今日は滋賀県にお住まいのSさんのお話をしたいと思います。

Sさんは滋賀県の大きな住宅街に立派なご自宅をお持ちです。

 

今から15年前に息子さんと共同でこの自宅を購入され、

息子さん家族と、Sさん夫婦の二世帯で暮らしていました。

(つまり、この自宅はSさんと息子さんの共有名義という事になります。)

しかし、今から約3年前、一緒に暮らしていた息子さんが突如、失踪したのです。

 

失踪

 

失踪した本当の理由は今現在も分からないのですが、Sさんの想像では、

息子さんは事業に失敗してしまい、多額の借金を抱えてしまった為、

家族に迷惑がかかると思ったから出て行ったのではないかと

考えているとおっしゃられていました。

 

息子さんには3人の子供と奥様がおられたのですが、それら全てを捨ててまで、

何の前触れもなくある日突然行方をくらました事に、

奥様も子供達も大きなショックと戸惑いを受け、事件性も考えられると判断し、

警察にも相談されたみたいですが、結局未だに何の手がかりもない状態となっています。

 

Sさん初め、奥様も友人関係や仕事関係と考えられる限り、

全てに情報を得る為に連絡を取り、足を運び今まで必死に捜して来ましたが、

こちらも全く手がかりが無く、家族の皆さんは疲れておられました。

 

一家の大黒柱を突然失ったSさんご家族は、お金の面でも苦労する事になり、

徐々に住宅ローンの返済や、税金の納付が遅れるようになり始め、このままではもう、

生活を続ける事が難しいと判断され、当協会に相談に来られたのです。

 

Sさんの希望は、この自宅を売却して、

現在の家族の生活が成り立つ返済で暮らせる家に引っ越しをしたいというもの。

 

しかし、ここで問題があります。

自宅を売却したくても出来ないのです。

何故だかお分かりでしょうか?

 

そう、この自宅の名義はSさんと、息子さんの2人の名義だからです。

 

売却するには、息子さんの同意が必ず必要になります。

ですが、息子さんは失踪しており、同意どころか、連絡すら取れない状況なのです。

つまり、売却したくても売却すら出来ない状況という事です。

 

私はご家族と実際にお会いして、悲痛な想いを聞いているので、よく分かりますが、

親として、妻として、最愛の人が失踪状態にあり、安否すら分からないという事、

子供として、お父さんが突然いなくなってしまったという事、ご家族の心情を察するに余りあります。

 

どれだけ辛い日々を過ごして来たのでしょうか?

いや、今もまだその日々は続いています。

 

電話が鳴るたび、誰かが家に来るたび、

ご家族は期待して来た事でしょう。

 

皆さんはどう思われましたか?

 

今回のこのSさんのケース、一見、解決が出来ないように思えますが、

そんな事もありません。

 

解決できる可能性はあります。

次回は、解決する方法についてお話をします。

 

おわり