男と女。金の切れ目が・・・

Print

住宅ローンの返済に困られた方からの相談が後を絶ちません。

 

私たち(社)全日本任意売却支援協会では競売を避けるため、

タイムリミットまで諦めずに、出来る限りのことは取り組みます。

 

ただ、どうしても任意売却が成立せず、競売になってしまうことがあります。

競売になってしまう一番の原因は、

住宅ローンの借主(主債務者)と連絡が取れない場合です。

 

特に複雑な事例として、こんなことがありました。

 

・・・・・

 

相談に訪れたのは、銀座でラウンジを経営していたA子さん。

 

長年、顧客で来ていたB社長と深い関係になる。

 

B社長名義で住宅ローンを組み、A子さんが所有者となり住宅を購入。

 

しかし、リーマンショックの後、銀座のラウンジの売上が急減。

 

2010年に閉店に追い込まれる。

 

閉店とほぼ同時にB社長とも連絡が取れなくなる。

 

それから半年後、A子さんの自宅に裁判所から競売通知が届く。

 

慌てたA子さん。

 

これまで住宅ローンの支払いはB社長。

 

そのB社長に連絡するも、一切連絡が取れず。

ラウンジを閉店したA子さんに、返済する資力はない。

 

そこで、(社)全日本任意売却支援協会へ相談に来られた。

 

しかし、住宅ローンの借主(主債務者)が不在だと銀行も

任意売却の申し出を受け付けてくれない。

 

業を煮やしたAさん。

 

「B社長の会社に行くから一緒に行ってほしい」と、

いうことで担当者は同行することに。

 

しかし、明らかに居留守を使われ何の成果も進展も得られない。

 

「B社長には自宅もあるし、会社もある。きっと財産もあるはず。

私だけ競売になって自宅を取られるのはイヤ!

なんとかB社長を探し出して住宅ローンを払うように言って」

 

と担当者に訴えるA子さん。

 

最終的には、私も面談の席に同席し今後のことを打ち合わせ。

 

しかし、住宅ローンの借主が不在だと、

何をどうしたって競売を避けることはできない。

 

諦めないA子さん。

 

話し合いを繰り返すもさすがに、

どうすることもできずに、私が最後に言った。

 

「A子さん。不動産や住宅ローンのことならお手伝いできるでしょう。

しかし、B社長と連絡が取れないのは別の問題です。」

 

「そこを何とかするのが、あなた達の仕事でしょ」

 

「A子さん・・・B社長と連絡が取れないことは、男と女の問題でしょ。」

 

「・・・・・」

 

「申し明けありませんが、これ以上はお手伝いできません」

 

・・・・・・

 

この言葉を最後に、A子さんは席を立たれ、

その後一切連絡もありませんでした。

 

それから3ヶ月後に、A子さんの自宅が競売で落札されました。

 

私たちも出来ることもあれば、出来ないこともあります。

 

その辺りをはっきりと伝えておかないと、

ご迷惑をかけることになりかねません。

 

特に、男と女の話になると二人にしか分からないことが

沢山あったりして、お互いの言い分だけが衝突したりします。

 

お金の問題だけでも大変なのに、

そこに男と女の問題が絡むと余計に複雑化します。

 

“金の切れ目が縁の切れ目”という言葉では

片付けられないことがたくさんあります。

 

 

終わり