強制執行の現場に立会いました

こんにちは。

全日本任意売却支援協会の藤本です。

 

先日、とある不動産の強制執行の現場に立ち会いました。聞いたことも

ある人もいるとは思いますが、強制執行とは“強制的に家具や荷物など

一切合切運び出してしまう(=断行)こと”です。

事の始まりは今年の頭でした。

 

この強制執行が執り行われた不動産の所有者は私の知人なのですが、

所有しているマンションの一室の賃借人が今年になってから家賃を

払ってくれなくて困っている…という相談を受けたのがきっかけでした。

 

知人も一棟のマンションを購入するにあたって借入を起こしているので、

金融機関へ返済するローンもあり、賃借人から支払われる家賃収入も

返済に充てていたので、知人は毎月自己資金から手出しして返済を

していた訳です。当然ですが、困りますよね…

 

何度も電話をかけ手紙を投函して、やっとのことで賃借人と連絡が

取れたのが今年の4月でした。どうやら奥さんに内緒で勝手に仕事を

退職してしまっていたことが原因で、離婚になり、家に帰ることが

少なくなってしまったということでした。当初は仕事も決まり払って

いけるとのことでしたが、一向に支払われる様子もなかったため、

結局当協会の提携の弁護士さんとも相談しながら、強制執行をして

いくことになりました。

 

…長かったです。この強制執行を行うために時間と費用がかなり

掛かりました。元々半年から1年かかると聞いていたので、想定内

ではありましたが、予想以上に手続きが煩雑でした。

 

■まず強制執行をする前にしなければならないこと

1.債務名義の執行文の付与

先ず、強制執行を行うためには「債務名義」の取得が必須ですが、

強制執行の効力を発生させるために、「債務名義」「執行文」

を付与しなければありません。

 

公正証書の場合は一般的には

公正証書正本

印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内のもの)および実印、もしくは運転免許証

を持っていき、公正証書を作成してもらった公証人へ執行文付与の作成をしてもらいます。

 

【補足】

「債務名義」とは:賃貸人の明渡請求権の存在を公証する文書のこと

「執行文」とは:債務名義の執行力の範囲を公証するため、執行文付与機関

(裁判所の書記官)が債務名義の正本の末尾に付記した公証文言のこと

「送達証明書」とは:債務名義が相手方に送達されたことを証明する裁判所の書面のこと

 

2.債務名義の送達証明申請

その次に、債務名義の謄本、もしくは公正証書正本を債務者へ郵送しなければならず、

また送達したことを証明する証明書も必要です。そのためには債務名義を作成した

裁判所の書記官へ送達の申請から送達証明書の発行を行ってもらいます。

※公正証書を作成する場合は、債権者と債務者の両者が揃っている時に公証人から

債務者へ謄本を渡すことで送達が完了したことになります。

 

■実際の明け渡しはどのように行われたのか?

明け渡しの強制執行も含めて裁判所の執行官が採り仕切ります。

強制執行が行われる前に執行官は、まずは任意で賃借人に建物を明け渡すよう通達

しますが、このことを「催告」と言います。

 

執行官と債権者(申立人)と相談の上、この催告の日に強制的に荷物を運び出す

予定日を決めます。もしそれでも借主が建物を明け渡さない場合、強制的に家具

や荷物を運び出します。

 

【補足】

・明け渡しの催告の日にち:原則として、強制執行申立ての日から2週間以内

・強制執行(断行)の日にち:原則として、明け渡しの催告の日から1ヶ月以内

 

強制執行で掛かった撤去費用・人件費・倉庫保管費用その他諸々の費用は、

強制執行を申し立て人が用意しなくてはなりません。一般的な費用については、

建物の広さや荷物量一概には言えませんが、どんなに安くても40~50万円、

量が多かったり倉庫を使用する場合だと100万円以上かかることもあります。

 

 

 

結局、賃借人は任意に部屋を明け渡すことはなく、上記の手続きを踏んで

強制執行を迎えました。当日は執行官を先頭に数人の執行補助者の方たち

が部屋に入って行きました。賃借人は部屋にいました。執行官が部屋に入り、

強制執行(断行)の説明を改めてし、執行補助者が賃借人を取り囲み、

債務者が移動出来ないようにしていました。(その他の執行補助者数は、

賃借人が台所等から包丁やハサミなどの危険物を手に取らないようにしていました)

 

当日は約3時間ほどかかり荷物を一通り撤去し終え、鍵も新しく変えて、

無事強制執行が終わりました。知人はこの間ずっと不安な顔で佇んで

いましたが、無事終わった報告を執行官から受けて安堵していました。

 

半年以上もローンを家賃収入からでなく、自己資金で賄ってきていたため、

やはりかなり精神的にも参っていたんですね…

 

私の当協会での職務は、住宅ローン等の滞納による競売回避(任意売却)

する仕事が主ですので、いつもとは違う立場からの話にはなりましたが、

一つ言えるのは、強制執行は避けたいものですし、見ていて気持ちの良い

ものではありません。

 

今回、当協会の弁護士と協力の上、知人の悩みを解決できて私自身も安心

しましたが、より一層「人の人生を大きく変えてしまうこの競売を避け

られるよう精一杯していけないな」強く感じました。