『賃借人が自己破産をしてしまった』①

こんにちは、全日本任意売却支援協会の藤本です。

先日、当協会へこんな相談がありました。

「賃貸中しているマンションの賃借人が滞納していたあげく

自己破産してしまうらしく、どうしたらいいんでしょうか・・・。」

こういった状況になってしまうと、人によっては投資マンションを全額

ローンで購入して返済分を入居者から支払われる家賃を充てている方も

多いことかと思うので、自分でその不足分を現金で捻出しなければなら

ないため、かなりの負担になりますよね。

 

今回は、自己破産されてしまった場合の賃貸借契約の解除と滞納して

いる滞納分の家賃について、詳しく解説します。

 

まず“自己破産”とは、裁判所を通して財産を処分し債務を取り消して

もらう手続きのことです。税金を除いた全ての債務が対象になります。

債務額や借り入れ件数などが基準に満たなければ自己破産はできない

という規定は設けられていませんが、現在保有している不動産を含めた

財産や今後の収入などを加味して今後支払いが困難であることが認められ

ないと自己破産はできません

 

それでは本題に戻りますが、結論から言うと「賃借人の自己破産

を理由とした賃貸借契約解除はできません」。オーナーからする

と自己破産をするような方がいると分かっていたらできれば出て

いってもらいたいと思われる方が大半ではないでしょうか。

 

今でもごくたまに、「賃借人が自己破産した場合には賃貸借契約

を解除する」という特約が賃貸借契約書に盛り込まれていること

がありますが、現在では特約は法的に有効ではありません。

 

平成16年の破産法改正により、賃借人が自己破産した場合に

オーナーが一方的に契約を解除できるとしていた旧民法621条

の規定は削除されているためです。自己破産した方に対する

一方的な契約解除について社会的批判が高まったんでしょうか。

 

自己破産の手続きについては今回割愛しますが、「同時廃止事件

と「管財事件」になるかで賃貸借契約が変わるかと思われます。

同時廃止事件になった場合は、破産管財人がつかないため当然財産

を管理する人がいないですし、賃貸借契約を解除するかどうかは

賃借人の意思次第になります。

 

管財事件になると、破産管財人が付き賃貸借契約も管理され、

継続するか解約するかは破産管財人の意思次第になります。

オーナーさんからすると退去するならするで、早く次の入居者

を探さないといけないですし、ローンが発生しているのであれば

尚の事遊ばせておくのは勿体ないですよね。

 

自己破産したことを理由に賃借人と賃貸借契約解除をする

権限は、オーナーにないことをお伝えしましたが、ただ

自己破産した賃借人との契約解除が可能になる場合もあります

以下2つの場合が考えられます。

 

一つは、『家賃滞納による信頼関係の崩壊』です。

オーナーから一契約解除をしたい場合には、「正当事由」が必要

であることはご存知かと思います。ちなみに賃貸経営における

正当事由とは、契約更新の拒絶や貸主からの一方的な契約解除が

正当であることを示す事実や根拠のことを表しています

 

そうは言っても自己破産するような賃借人は明らかに経済的にも

行き詰っていることが多いため、普通に家賃を払っていられる

ことの方が珍しいのではないでしょうか。

 

実際のところ長期滞納(3ヶ月以上)の滞納だけでは信頼関係の

崩壊というには不十分で、それ以外に家賃滞納の理由や滞納前

までの家賃支払い状況・オーナーからの催告の頻度や方法・催告

に対する入居者の対応や支払い意思の有無など、総合的な要素を

考慮して判断されるものかと思われます。

 

もう一つは、『滞納した家賃を免責することによる債務不履行』です。

賃借人にとっての債務不履行の意味は広義ですが、簡単にいうと

家賃滞納も債務不履にあたりますし、自己居住用の物件を転貸したり、

事務所使用したり、または勝手にペットを飼ったりすることも同様です。

自己破産をすると、当然滞納している家賃も清算されています

対象なので免責になってしまいます。要は“踏み倒された”という

ことであれば、自己破産による家賃滞納は債務不履行の事項に

当てはまるので、賃貸借契約を解除できる可能性は高いと思われます。

 

次回に続きます。